-4-

14/18
前へ
/602ページ
次へ
でもそんな話、今する話じゃない。 もしそうだったとしても、そうじゃなかったとしても。 「……兄さんは、仕事中、どんな感じでしたか?」 沸々と湧き上がる疑念を頭から吹き飛ばし、黙り込んで俯いてしまった名倉さんに話しかける。 「あ……、はい。そうですね…。いつもニコニコ笑っていましたよ、本当にいつも」 「あー、ヘラヘラしてましたもんね、兄さん」 力なく微笑む名倉さんの言葉に、思わず苦笑いしてしまった。 「いえ、そのおかげで現場はいつも明るかったです。人が良かったですから…、色んな人から愛されていたのではないかと思います」 「だといいのですが」 ため息をついて呆れ気味に言う俺が面白かったのか、名倉さんがクスクスと声を上げて笑う。
/602ページ

最初のコメントを投稿しよう!

203人が本棚に入れています
本棚に追加