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その様子を眺めていると。 「あ、すみません…。紫音から、聞いていた通りの方だなと思いまして」 こんな場で笑ったのがいけないと思ったのか、それとも気恥ずかしくなったのか。 名倉さんはそそくさと顔を俯けて、髪の毛で顔を隠した。 「……それはどういうことでしょう?」 兄さんが俺の話をしていたということだろうか。 少し首を傾げて素直な疑問を投げかけると、名倉さんは顔を上げて、はにかみながら答えた。 「現場に向かう最中って、暇な時もあるんです。そういう時になると紫音、必ず美音ちゃんか紫呉さんの話をするんです」 「へぇ……」 話の内容を聞いたわけでもないのに、妙に恥ずかしい。
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