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「なんだかすいません、きっと聞き苦しい話だったと思います……」
首の後ろに手を当てながらヘコへコ頭を下げると、またしても名倉さんはクスクスと声を出して笑った。
「いえ、とても面白かったです。美音ちゃんがどれだけ可愛いか、紫音が紫呉さんをどれだけ自慢に思っているかがよく伝わって来て……本当に……すみません…。何だか急に、懐かしくなってきてしまって」
早口で言い訳のようにそう呟いた名倉さんは、急に口元を両手で覆うと、座卓に頭が付くのではないかと思うくらいに俯いた。
その声が心なしか震えていたように感じたのは、多分気のせいだろう。
そういうことにしておこうと思う。
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