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# # # 名倉さんはその後少しの間肩を震わせていたけれど、母さんが新しく入れて来たお茶を飲んで帰って行った。 目元は赤くなっていたけど、すっきりした顔で笑っていたから、多分もう大丈夫だろう。 きっと、泣きたくても泣けなかったんだろう。 “人の死”という責任を、あの細い背中に、一身に背負っていたのかと思うと、なんだか申し訳ない気持ちでいっぱいになった。 「(……それにしても)」 浮かび上がって消えない、疑念。 名倉さんと兄さんの関係、そして名倉さんと美音の関係。 まさか、いや、そんな……。 でも、あり得る。 そんな問いが浮かんでは消えていく。 名倉さんがいくつかはわからない。 でも兄さんの名前を呼び捨てにしているところを見ると、歳は兄さんと近いんじゃないかと思う。 深い仲になっていてもおかしくない。 もちろんそう断言することは出来ない。
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