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# # # 呆然と俺たちの様子を見ていた親戚を無視して母さんの実家を、俺と美音は飛び出した。 「なぁ、美音」 飛び乗った軽自動車を走らせながら、俺は助手席に乗る美音の方を見ずに、問いかけた。 「ホントに、俺で良かったのか」 実は気になっていたこと。 どちらか選べと言ったのは俺だし、選ばれた時ちょっと嬉しかった。 それは事実だけど。 世の中金だけじゃないって思うけど、実際、金は必要なものだ。 今は少しくらい貯金があるだろうから、なんとかやっていけたとしても。 今後はどうなるか、わからない。 でも、俺のそんな懸案事項を知ってか知らずしてか、美音はここ最近見ていなかった笑顔を浮かべて言った。 「いいの。呉さんが、いいの」
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