-1-

4/11
前へ
/602ページ
次へ
最後の仕事場、2階の書斎に生息する彼のもとへ足を向ける。 確か、締め切りは一昨日だったはず。 だから今日は無理やりにでも起こさないと、多分起きないな。 そんなことを考えながら、書斎のドアを開けた。 「呉さんっ、起きてっ!」 「ぐ」 ベッドにうずくまる青い塊にダイブすると、塊は苦しそうに呻いた。 「美音、お前……起こす時ダイブすんのやめろって言ったろ……」 のそのそと布団から顔を出してこちらを力なく睨みつける彼に、敢えて余裕そうに微笑んであげた。 「こうでもしないと呉さん、起きないでしょ?」 「……ソーデスネ」 これ以上反論しても意味がないと思ったのか、彼は呆れた様な表情でため息をついた。
/602ページ

最初のコメントを投稿しよう!

203人が本棚に入れています
本棚に追加