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音さんとお祖母ちゃんが死んでから8年が経った。 あの時中学生だった私も今や21歳の、女子大生。 呉さんももう40歳だ。 呉さんは一応、小説家として活動している。 ジャンル的には、恋愛小説を主に書いてるみたいだ。 何冊か読んだことがあるけど、恐ろしく純粋なものから恐ろしく官能的なものまで、色々書いてる。 昔は収入が不安定で、音さんやお祖母ちゃんの貯金を切り崩して生活してた時もあった。 でも今は、呉さんの収入も安定してるし、私も大学の空き時間にバイトしてお金を稼いでいる。 ホントは、呉さんはバイトなんてしなくていいって言ってくれたんだけど、呉さんに助けてもらった私は彼に恩返ししなきゃならない。 そう。 呉さんはただ私の叔父だってだけじゃなくて、私の人生を救ってくれた恩人だ。
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