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素っ気ない返事とは裏腹に、優しい指の動き。 くすぐったくて思わず身をすくめると、頭上から小さく呉さんの笑い声が降って来た。 多分、私の顔が真っ赤になるのを見て、面白がってるんだ。 「じゃあ、洗濯よろしく」 そう言いながらリビングに入っていく呉さんの後ろ姿を睨みつけながら、 「……はいはい」 そう言うのが、精一杯だった。 ああやって私の耳を触るのは、呉さんの癖だ。 一緒にテレビを見てる時とか、さっきみたいに話をしている時にふと触って来る。 私は呉さんのその行為が、恥ずかしくて、むず痒くて、……ちょっと好き。 「……あぁ、もう」 ……堪え切れそうに、ない。
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