義理の父と兄

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『……はい…』 近づいてくる太一の気配を感じ美緒は目を閉じながら怯えた。 『風邪ひくよ』 太一はタオルで美緒の濡れた髪の毛を拭き始めた。 『……』 美緒は目を開け太一に目を向けた、太一は美緒の髪の毛を拭きながら『ごめん』と言ってタオルを持って美緒から離れた。 美緒は何も言わずドライヤーで髪の毛を乾かした。 『……』 太一はタオルを持って部屋を出て階段を下りキッチンに向かった。 美緒はドライヤーを止め部屋を出ると階段を下りキッチンで料理を作っている太一の姿をじっと見つめた。 『あ…あの…』 『髪の毛、しっかり乾かしたかい』 炒飯を作りながら太一は言った。 『…はい…何をしてるんですか?』 『ベーコン入り炒飯だ』 出来上がった炒飯を皿に盛るとその皿をダイニングのテーブルに運び置いた、太一は振り返り『一緒に食べないか?』と美緒に言った。 しばらく黙っていた美緒はキッチンに行き2人分の小皿とスプーンを持って来るとダイニングに入り小皿とスプーンをテーブルに置くと座った。 『ありがとう』 小皿とスプーンを持ってきたことにお礼を言うと太一は向かい合って座った。 美緒は黙って小皿に炒飯を盛り太一の前に置いた、太一は『ありがとう』と言ってスプーンを手に掴み炒飯を食べ始めた。 次に自分の小皿に炒飯を盛ると美緒はスプーンを手に掴み食べ始めた。 『美味しいです』 太一に目を向けた美緒は優しく微笑む太一に頬を赤らめながらうつ向いた。 『良かった…あ、そうだ…ご飯食べ終わったら家に送るから』 『…1人で帰れますから…』 美緒はうつ向きながら言った。 その頃、嵐は学校に来ていた、そして嵐は授業を受けている遊を呼び屋上に向かった。 ー屋上ー 『大事な話って何ですか?』 『美緒君のことだ』 『何です』 『美緒君に近づかないで欲しいんだ、もう傷つけたくないんだ』 嵐は遊に頭を下げた、遊は笑みを浮かべ『土下座をしろよ』と言った。 『……』 嵐は顔を上げ遊を睨んだ。 『女神に近づいてもらいたくなかったら土下座くらいしたら』 嵐は遊の前で土下座をし『頼む、美緒君に近づかないでくれ』と言って頭を下げた。
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