義理の父と兄

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遊は嵐の姿に笑いながら『本気なんだ、俺も本気になろうかな』と言い嵐を見た、嵐は顔を上げ立ち上がると『美緒君に何かしたら俺は許さないからな』と言って嵐は屋上のドアを開き階段を下りていった。 『あの親子、女神に本気で惚れてるんだ』 遊は携帯を開き仲間にメールを送った。 その頃、キッチンでは美緒が皿やスプーンを洗っていた。 太一は美緒に近づき黙って手伝った。 『……』 美緒は側で手伝う太一に胸がドキドキし皿を床に落とすと美緒は割れた皿を掴み手に怪我をした。 『…大丈夫か』 太一は美緒の手を掴み立たせると椅子に座らせハンカチで手の傷から流れる血を拭き救急箱を取りに行った。 『血は止まったか』 『…はい止まったみたいです』 美緒は手の傷のまわりの血をハンカチで拭きながら言った。 救急箱をテーブルに置くと太一は椅子に座り美緒の手を掴んだ、そして太一は救急箱を開け傷の手当てを始めた。 美緒は傷の手当てをする太一の顔をじっと見つめた。 気配を感じた太一は優しく微笑み美緒は頬を赤らめながらうつ向いた。 手当てが終わると太一は『美緒君…』と言ってうつ向く美緒の顔を掴み上げさせた。 ドキドキしている美緒は『あ…ありがとうございました…』と言って椅子から立ち上がり部屋に向かった。 『何かされるんじゃないかって思って怖いよな』 太一は椅子に座ったまま笑みを浮かべた。 部屋に逃げ込んできた美緒は手当てをしてもらった手を見つめながら優しく微笑む太一の顔を思いだし頬を赤らめた。 『どうしてドキドキするんだろ、太一さんは俺を乱暴した人なのに…どうして…』 美緒はベットに座りうつ向きながらため息をついた。 その時、美緒の携帯が鳴り美緒は電話に出た。 『もしもし父さん何かよう』 『そんな言い方ないだろ』 心配で電話をした光博は美緒の態度に怒った。 『ごめん…明日帰る…』 美緒は電話を切った、その様子を見ていた太一が『心配で電話をしてきたんだね…帰った方が良い』と言った。 美緒は太一に目を向けながら頬を赤らめた、太一は美緒に近づき『お父さんが俺たちと一緒に居ると知ったら怒る、だから帰った方が良い』と言った。 『……』 『美緒君?』 太一は見つめる美緒の顔を見つめた。
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