義理の父と兄

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『俺、変なんです、太一さんに見つめられたり手を触られたりすると胸がドキドキして…』 美緒は頬を赤らめながら太一を見つめた。 『そんな顔をすると、俺…』 太一は美緒の顔を掴み顔を近づけると唇を重ねた、美緒は抵抗せず太一の口づけを受け入れた。 その後、唇が離れると『ごめん、俺…』と言って離れようとする太一の腕をベットから立ち上がり美緒が掴んだ。 『美緒君…』 太一は美緒に目を向けた。 『…あ…ごめんなさい…』 美緒は手を離し太一から顔をそらした。 その時、出掛けていた嵐が帰宅し美緒の部屋に現れた。 『お帰り』 太一は部屋から出て行き、嵐は美緒の顔を見つめた。 『父さんと何かあったのか』 『え!…別に何も…』 美緒は頬を赤らめながら言った。 嵐は何かあったと感じ部屋を出るとダイニングの椅子に座っている太一に近づいた。 『父さん、話があるんだけど』 『……』 考え込んでいた太一は顔を上げ嵐に目を向けた。 『美緒と何かあったのか、美緒の様子がおかしいから』 『先に言っておくがむりやりじゃないからな…唇を重ねた…』 『唇を…美緒は父さんの口づけを受け入れたのか』 『嵐…』 太一は椅子から立ち上がりダイニングから出ていく嵐の悲しげな後ろ姿を見つめた。 『嵐さん』 階段を下りていた美緒は足を止め嵐と顔を合わせた。 嵐は何も言わず階段を上がり美緒とすれ違い部屋に行った。 美緒は階段を下りダイニングから出てきた太一と目があった。 『美緒君…お父さんが俺達と一緒に居ると知ったら怒る、だからお父さんの所に帰りなさい』 『…はい…』 『車で近くまで送るから』 太一は美緒を連れて玄関に行くと出ていった。 『乗って』 ドアを開き美緒を助手席に乗せドアを閉めると太一は運転席に乗り込んだ。 『太一さん…』 『なんだい』 『俺を乱暴した相手なのに、憎いはずなのに…好きなんです…あなたの事が』 頬を赤らめながら美緒は気持ちを太一に伝えた。 『美緒君』 『どこか2人きりになれる場所に連れていってください』 『わかった』 太一は車を走らせラブホテルに向かった。
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