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『2人に何かしたんじゃないだろうな』
嵐は側にいる遊に目を向けた。
『何もしてませんよ、何でそんなことを言うんですか』
『お前がここにいるからだ』
嵐は遊から携帯を取り上げ太一と美緒の画像を消した。
『消されちゃった』
『お前は帰れ、それから美緒には近づくな』
嵐は携帯を遊に返した。
『わかりました…嵐先生…』
嵐の唇にキスをすると遊は笑みを浮かべホテルの部屋を出ていった。
『何なんだあいつは』
嵐は指で唇に触れながら頬を赤らめた。
『太一さん、好きです』
『俺も好きだ、美緒君』
太一は誘う美緒の唇にキスをし激しく体を抱いた。
抱き合う太一と美緒の姿を無言のまま嵐は見つめた。
その時、美緒が嵐に目を向けた。
『嵐さん…』
『え…』
太一は体を起こし嵐に目を向けた。
美緒も体を起こし嵐に目を向けた。
『あの…』
気まずい美緒は嵐から目をそらした。
『美緒…』
嵐は目をそらす美緒を見つめた。
『俺に内緒で2人がホテルで愛し合ってたの知ってたよ…美緒が本当に好きなのは俺じゃなく父さんだ、そうだろ美緒』
『……』
目をそらしていた美緒は嵐を見つめながら頷き涙を流した。
『嵐…俺は…』
言いかけて太一は黙った。
『一発殴らせてくれたら、美緒を諦めて父さんにやるよ』
『え…』
嵐の言葉に太一は驚いた。
『本当に美緒君をもらってもいいのか』
『いいよ、その代わり一発殴らせてくれよ』
『わかった』
太一はズボンをはきベットから下りると嵐の前に立った。
太一は目を閉じ『いつでも良いぞ』と嵐に言った。
『いくぞ』
嵐は太一の頬を殴った。
ふらついた太一はベットに手をつきしゃがみこんだ。
『太一さん』
美緒は太一の側に近づき殴られた頬に手で触れた。
『心配しなくても大丈夫だから』
『本当に大丈夫ですか』
『冷やせば大丈夫』
『濡れたタオルを持ってきます』
全裸のままベットから下りると美緒は引き出しからタオルを取り出し水道に向かった。
太一は立ち上がりベットの上に座った。
『……』
『大丈夫か…』
本気で父親を殴った嵐は落ち込み悲しげな顔で太一を見つめた。
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