義理の父と兄

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『お待たせしました』 『行こうか』 太一と美緒は家を出て鍵を閉めると駐車所に止めている車に近づき、太一は運転席に乗り込み美緒は助手席に乗り込んだ。 『場所はわかってるんですか』 『調べたから場所はわかる』 太一は車を走らせ遊の家に向かった。 その頃、遊と嵐は隣同士でソファーに座り太一たちが来るのを待っていた。 『父さんたちは俺がいること知ってるのか』 『言ってない、来たら言おうと思ってたから』 遊は心配そうな顔をしている嵐の手に触れ唇にキスをした。 『遊…』 『美緒に校長の前でちょっかいかけないと言ったんだろ』 『あぁ…学校も辞めると言った…それを言ったすぐに会うなんて…気まずいよ』 『俺がいるだろ』 遊は嵐を優しく抱き締めた。 それからしばらくしてインターホンが鳴った。 『来たみたいだな、嵐は座ってて』 遊はソファーから立ち上がり玄関に向かうとドアを開き立っている太一と美緒を中に入れた。 太一と美緒は靴を脱ぎ上がると遊について行き嵐がいるリビングに行った。 『嵐!』 太一と美緒はソファーに座っている嵐に驚いた。 『2人とも座って』 遊は嵐の隣にうつ向いている嵐の手を握った。 嵐は顔を上げ遊に小声で『大丈夫だ』と言った。太一が先にソファーに座ると続けて美緒が太一の隣に座った。 『話があるってなんだ』 ちらっと嵐を見た太一はすぐに遊を見た。 『何で俺の家に先生がいるのか驚いていますよね』 遊は嵐の手を握ったまま交互に太一と美緒を見た。 『ホテルの時は別々で帰ったのに…嵐がホテルから出てくるのを待ってたのか…』 太一は手を握っている遊と嵐の姿を見て2人は恋仲ではないかと心の中で感じた。 『いろんな男女と関係をもってきたけど、嵐は遊びじゃなく本気で好きになった、2人に俺と嵐の仲を認めてほしいんだ』 遊は嵐の手を離し太一と美緒に頭を下げた。 続けて嵐も太一と美緒に頭を下げた。 美緒はソファーから立ち上がり嵐に近づくと嵐の前でしゃがみ嵐の手を握ると『俺たちは2人の恋に反対しません』と言って美緒は優しく微笑んだ。 『太一さんも』 嵐から手を離し立ち上がると美緒は太一に目を向けた。
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