義理の父と兄

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太一はソファーから立ち上がり『嵐…父さんはお前の恋に反対はしない…お前が幸せになってくれればそれでいい』と言って嵐を見つめた。 『ありがとう…父さん…美緒…』 嵐は遊との仲を認めてくれた太一と美緒に感謝し嬉し涙を流した。 『美緒、帰るぞ』 『はい』 美緒は太一と共に玄関に行き靴をはくとドアを開けた。 その時、背後から美緒に『美緒』と嵐が声をかけた。 美緒は振り返り嵐に目を向けた。 『先に行ってる』 太一は駐車所に止めている車に向かった。 『何でしょうか』 美緒は嵐に言った。 『今までの事、ごめん…父さんの事、頼むな』 『はい、それじゃあ』 美緒はドアを閉め車に向かった。 『……』 嵐は振り返り目の前に立っている遊に目を向けた。 『2人を気にせず愛し合えるな』 『そうだな』 嵐は遊に抱きつき遊は嵐を優しく抱き締めた。 その頃、太一と美緒は車で家に向かっていた。 静かに運転をしている太一に助手席の美緒が口を開いた。 『嵐さんと遊さん、幸せになってくれるといいですね』 『そうだね』 運転をしながら太一が答えた。 『太一さん』 『何?』 『学校を退学して俺、働こうかなと思っています』 『え!働くって卒業してからでもいいじゃないか』 運転しながら太一はちらっと美緒を見てすぐに前を向いた。 『1人で生活を支えてるから俺も働いて太一さんを楽させてあげたい…駄目ですか?』 美緒の言葉に嬉しく思った太一は車を止めた。 『嬉しいよ、美緒』 太一は美緒を抱きしめ顔を見つめた。 『じゃあ…』 『美緒がそうしたいなら、俺は反対しない』 『ありがとう』 美緒は微笑み太一に抱きついた。 その後、太一は車を走らせ家に向かった。 それからしばらくして家に着くと車を駐車所に止め太一と美緒は車から下りた。 そして太一と美緒は家の中に入りリビングに行った。 『お腹すかないか』 ソファーに座り太一が言った。 『何か作りましょうか』 美緒はキッチンに行き冷蔵庫の中を調べ始めた。 『何がいいかな…ベーコン、卵、ピーマン、椎茸…炒飯でも作るか』 美緒は冷蔵庫の中からベーコンと卵とピーマンと椎茸を取りだし炒飯を作り始めた。
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