義理の父と兄

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スーパーについた美緒は店の中に入りいろんな品物を見ながら何を買うか迷っていた。 『夜ごはん、何がいいかな…魚の煮物にするか…』 美緒は鮮魚売り場に向かった。 『どの魚にしようかな』 鮮魚売り場でいろんな魚を見ていた美緒に女性が話しかけてきた。 『美緒君ですよね』 『そうですけど…』 知らない女性に声をかけられ美緒は戸惑った。 『私は尚美の友達で高畑みどりといいます』 『お母さんの友達が何で俺の事を知ってるんですか』 『泣きながら尚美が話してくれたの美緒君の事や再婚相手の事を…』 『泣きながら…お母さん…』 『尚美に会いたいなら私が会わせてあげるわよ』 落ち込む美緒の姿を見てみどりは会わせてあげたいと思い言った。 『本当ですか』 『昼の2時以降なら尚美は家にいるからいいわよ』 みどりは紙に家の地図を書きその紙を美緒に差し出した。 紙を受け取った美緒は『ありがとうございます』と言ってみどりに頭を下げ顔を上げた。 『じゃあね』 みどりは鮮魚売り場から離れていった。 その後、美緒は魚を買い店を出て家に向かった。 その頃、校長室の太一は全生徒と先生の資料を見ていた。 その時、ドアのノック音がした。 『はい…どうぞ…』 太一が返事をするとドアが開き入ってきたのは相沢遊だった。 『どうしたんだ、今は授業中だろ』 太一は資料を閉じ近づいてくる遊を見た。 『これを渡したくて来たんです』 遊は封筒を差し出した。 太一は封筒を受け取り封筒を開けると中に入っている紙を取り出し見た。 『退学届、お前も学校を辞めるのか』 『はい』 『そうか、わかった』 『……』 太一に頭を下げると遊は校長室を出て行った。 太一は携帯を開き嵐に電話をかけた。 『留守電だ…父さんだけど、いつでもいいので連絡をください』 太一は携帯を切った。 その頃、美緒は買い物袋を持ったまま道を歩いていた。 『行ってみようかな』 家の地図が書かれた紙を見ながら美緒は方向を変えた。 美緒と別れたみどりは自分が経営している居酒屋の中に入った。 『遅くなってごめんね』 みどりは留守番していた尚美に言いながら買い物袋をキッチンに置いた。 『準備中の看板、出しておくね』 尚美は店を出て入り口に準備中の看板を出し中に入った。
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