義理の父と兄

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『目が覚めたか』 太一は椅子から立ち上がり美緒に近づいた。 『太一さん…』 『今から美緒の仕事場に行こう…美緒は先に俺の車に行ってて、俺は副校長に出掛けることを伝えてから行くから』 車のキーを美緒に渡すと太一は先に校長室を出て行った。 その後、美緒も車のキーを持って見られないように校長室を出ると駐車所に走った。 太一は職員室に行き仕事をしている副校長に近づいた。 『校長、どうしたんですか』 『大事な用事で帰らなくちゃいけなくなったから、あとは副校長に任せていいかな』 『…はい…わかりました…』 『頼んだよ』 太一は職員室を出て駐車所に急いだ。 その頃、美緒は車の助手席で太一を待っていた。 『あ!鞄、忘れた…』 美緒はドアを開き助手席をおりたその時、太一が走って近づいてきた。 『どうしたんだ』 『校長室に鞄を忘れてきたから取りに行ってくるね』 『俺があとで取りに行くから、車に乗って』 美緒を助手席に乗せドアを閉めると太一は運転席のドアを開き乗り込んだ。 『道を教えてね』 『あ、はい…』 美緒が返事をすると太一は車を走らせた。 その後、運転しながら太一は美緒に道を教わり1時間後、車は法律事務所の前に止まった。 『美緒…』 『今日はお父さんに会いたくないんだけど』 美緒は父親に感じている姿を見られたことに落ち込んでいた。 『気にするな、行くぞ』 『…うん…』 美緒と太一はドアを開き車からおりるとドアを閉めた。 太一は乗り気じゃない美緒の腕を掴み事務所の中に入った。 『いらっしゃいませ』 太一と美緒を静華が出迎えた。 『お父さんは…』 『社長室にいますよ』 美緒の問いに笑みを浮かべ答えると静華は事務所を出て行った。 美緒は太一と共に社長室に行きドアをノックし中から父親の声がするとドアを開き中に入った。 そして美緒は父親の側にいる母親の尚美に驚いた。 『どうしてお母さんがいるんだ』 『俺がお父さんに言って呼んでもらったんだ』 『太一さんが、何で?』 美緒は太一の顔を見つめた。 太一は美緒の腕を掴み机の前で立っている光博と尚美に近づいた。
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