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それからしばらくして美緒は落ち着き尚美から離れた。
『何かあったの?まさかいじめられてるんじゃないよね…』
尚美の問いに黙っていた美緒はうつ向きながら『……嵐さんに乱暴された…』と答えた。
『……』
尚美は美緒の告白に言葉を失った。
『母さん…1人にしてくれないか…』
美緒はうつ向いたまま尚美に言った。
『わかった…美緒…』
美緒の肩に触れようと手を伸ばした尚美は肩に触れず部屋を出ていった。
同じ頃、嵐は校長室で太一と話をしていた。
『1年後、尚美と離婚してから美緒君に告白すると約束したのに…お前は、むりやり美緒君を抱くなんて』
『父さんも俺と同じ立場になれば美緒を抱いたよ』
『お前と一緒にするな、俺はむりやり抱いたりしない』
太一は窓際に立ち外を眺めた。
『父さんは抱くより抱かれる方だもんね…相沢遊…』
『……』
太一は驚き嵐を見つめた。
『何で知ってるのかって顔をしてるな…見たから、校長室で相沢遊が父さんを抱いているところを』
『…何で助けてくれなかった』
『何で嫌いな父親を助けなきゃいけないんだ』
嵐は太一を睨み付けた、太一は嵐が中学生の頃の事を口にした。
『お前はまだ俺を憎んでいるのか』
『当たり前だ…』
嵐は太一に近づき胸ぐらを掴み『俺はあんたを許せない、俺の大事な人を死に追いやった…だから今度は俺が、あんたが思いを寄せている美緒を奪ってやる…』と口にし手を離した。
その時、校長室のドアが開き尚美が入ってきた、嵐と太一は尚美に目線を向けた。
太一は嵐から離れ机の前に立ち『今は仕事じゃないのか、何かあったのか』と尚美に言った。
『嵐君に用があるの…』
尚美は窓際に立っている嵐に目を向けた、嵐は窓際から離れながら『美緒君の事で来たんでしょ』と言った。
尚美は嵐に近づき向き合うと嵐の頬を叩いた、嵐はにやりと笑い『本人から聞いたんですね、俺に乱暴されたと』と言い尚美を見た。
『自分がしたことを謝るどころか嬉しそうに話すなんて、最低だわ』
『尚美さん…』
太一の声に目を向けた尚美は左手の薬指にはめている指輪を外し『私たち別れましょ』と言って指輪を太一に渡し尚美は校長室を出ていった。
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