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「くくっ」
「ちょ、もう、びっくりした、」
壁を背に寄り掛かり私を腕の中に閉じ込めるこの人は、普通な私をなぜか好きになってくれたイケメン彼氏。
私はというと、腰を抱き寄せるようにされる中、視線は彼の胸もとへ固定していた。
付き合いだしてから、彼との距離に心底戸惑っている。
あまりのイケメンぷりに視線を合わせて3秒と持たないんだ。
恥ずかしくて、照れくさくて、見つめられるだけでどんどん顔が赤くなる。
いくらハードルの低い私だって、イケメンのレベルくらいちゃんとわかるし、それ以上に私は彼の仕事ぶりとか明るい性格なんかもずっと好きだったから。
こうして付き合えてるだけで、夢じゃないかなんて思う時がある。
ギュッと抱き寄せられる腰に、慌てて彼の胸へ手をついて。
少し押すようにすれば、頭上でくすりと声が洩れた。
「まーったく、そろそろ俺に慣れてよね?」
「……なれない、です」
「です、じゃないでしょ?2人の時はどうするんだっけ?」
「……なれないんだもん」
「ん、可愛い」
うつむく私の頭に顎をのせて。
あぁ、また笑ってるんだろう。
くつくつと揺れる体から楽しそうな雰囲気がダダ洩れだ。
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