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「あぁ…
面倒臭いなぁ」
人気の少ない歩道を歩いてる
スーツ姿の男がそう呟いた。
その表情はとても
疲れ切っているようで、
誰もが一目見ただけで
分かる程だった。
「そう言うなよ。
今回も可愛い子なのに…
何が気に食わないんだ?」
もう一人の男性の歳は
四十を過ぎたくらいだろうか。
スーツ姿がよく似合い、
やれやれ、とため息を吐いて
言葉を発した。
天気は雨。
二人共傘を差し、
気だるそうにしていた。
「ったく…
何で毎回歩きなんだ?」
「だーかーらー!
車の臭いが嫌いなの!
ほら、あのリムジンの臭いとか!」
「リムジンいい匂いじゃないか。
ベンツとかは臭いけど。」
二人から飛び交う、一般人にしたら
聞き慣れない単語。
四十ほどの男性は世界的に
有名な資産家の一人で、
誰もが彼を知ってるほどだ。
『一之瀬財閥』
この名前で、世界には
通っている。
そして、もう一人の男性は…
「お見合いとかさ、
何でやる必要あるの?
別にさー、俺が歩んでく
人生でこの人がいいとかさ」
その資産家の息子であり、
これから世界の経済を
担っていく男だ。
「ほら、そういう人と
俺は結婚したいわけで。」
「十五の息子がそんな事を
言うなんて…
許嫁を決めるだけだろ?
これから好きになる~とか、
そういうのあるのに
連絡保つのでさえ断っただろ」
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