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人見知りだと分かり、
諒は苦手なタイプだと思うが、
声をかけてしまった以上
こちらから離れるわけにはいかない。
「それで…
服とか濡れてるけど…
あぁ、傘忘れたの?」
「え、えっと…
はい、そうです」
「そっか。
誰かと待ち合わせとか、
そういうのはしてない?」
諒は立て続けに質問し、
そして質問に対する回答から
どういう性格をしているか、
簡単に想像する。
丁寧な口調に、オドオドと
した表情からは、清楚な印象で
心も純白な子というのが想像できる。
「はい、してないです…」
「とりあえず、コレ。
シャツが透けて見えてるから、
下着、見えてるよ。」
「えっ!?
お、お借りします…」
諒が差し出したスーツを
彼女は受け取り、そして
胸元を隠すように着ていた。
「とりあえず、寒いから
早く帰った方がいい。
はい、傘」
諒は傘を差し出し、
そして小さく笑った。
「え、でも…」
「いいから。
大事にしてね。
それ三百万するから」
「さ、三百万!?」
スーツが三百万するというのは
本当なら誰も信じないが、
実際は本当だ。
金持ちの金銭感覚はおかしい。
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