フラグ設立

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「いいです! 三百万なんて…万が一 何かがあったら、 弁償できませんし…」 純粋な女性のようで、 全く疑っていなかった。 「別にいいよ。 君に風邪引かれる方が困る。 はい、傘」 「は、はい…」 女性が傘を受け取り、 そして諒は立ち去ろうとした。 「あ、あの! 電話番号だけ… 教えてもらってもいいですか?」 「何で?」 「あの… スーツと傘をお返しする時に 連絡手段がないと…」 「電話番号ねぇ… …あっ」 諒は何かに気付いたのか、 驚いた表情をしていた。 諒が見ていたのは女性が 着ている制服。 学校指定の服だろう。 「高校生…だよね? どこの高校なの?」 「諒、そこら辺にしろって」 さっきまで距離をとって 待機していた秀樹が諒に駆け寄った。 「すまないね、迷惑をかけて」 「迷惑だなんて! スーツと傘もお借りしてますし… 本当にありがとうございます。」 「それで、どこの高校?」 懲りてないのか、諒が しつこく問いかけた。 「朝霧高校です…」 「朝霧高校? あの、すぐそこの?」 諒が一本道の少し遠くを 指さすと、そこには学校があった。 「はい、そうです。」 「そっか。 それじゃあ、明日空いてる?」 「え?」 「もし時間があるなら、 明日ここで待ち合わせしない?」 「お、おい! 諒!迷惑だろう!」 諒は初対面の相手にも 気楽に声をかける所だけは、 財閥の息子とは思えない長所だ。
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