偽屋

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「モブ夫さーん!!」 店を掃除していると翠華の声が聞こえる。 「どうしたんですか、翠華。」 「この箱……なんですか。」 木でできたその箱の側面には鏡が取り付けられている。 「あぁ、これはですね。」 モブ夫はその箱を机の上に置く。 「翠華、鏡は見たことありますよねぇ」 「うん。勿論。というか馬鹿にしてる??」 「いえいえ、だったらわかるはずですよ。」 ニヤリと笑うと鏡の部分を翠華の方へ向けた。 「あれ??」 普段の鏡とは様子が違う。 「気がつきましたか??」 翠華はそっと鏡の前で右手を挙げると、鏡に写った翠華も右手を挙げた。 「えっ??」 急いで全身鏡の前に行き同じように右手を上げる。その鏡の翠華は左手を挙げるのだった。 「この箱の鏡おかしい!!!」 「面白いでしょう。人間の行商から譲り受けたものなんですがね。人間の鏡職人がたまたま鏡を落とした時にできたらしいんです。そうしたら今まで普通に写っていた鏡がいきなり変な風に写り出したそうな。一応箱に入れてみたものの、やはり気味が悪いのでそういう伝で回ってきたんですよ。 しかし、俺っちもそんなものを作る妖怪は知らないんですがねぇ。」 「不思議な事ってあるんだね」 「そうですねぇ、この鏡同様、本当に正しく映る事なんてほんの人握りなんですよ。」 首を傾げる翠華にモブ夫は頭を撫で、それはここに置いておきましょうかね。と声をかけた。 ****** 偶然ほど奇怪な事はない話。これ、リバーサルミラーの事です。実は鏡を90度にくっつけると簡単にできます。 しかし、これ、この時代なら奇怪な物に見えるんだろうなと。妖怪がしてなくても妖怪の仕業に見える的な話。 モブ夫の店に可愛い店員さんがやってきました!! なんか呼び方とか喋り方とか普通になっちゃった。申し訳ない。 有難うございました!!
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