偽屋

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生まれてから生きるためには人間として生きなければならなかった。 それはそういう存在だったから。 人の姿を借り、生きる。 やっている事は妖怪でも、人間を知り、人間を真似なければ、存在すら否定されてしまう存在である。 「妖怪にして人間に近いとはねぇ」 身体能力的にも人間とさほど変わらないどころか、長けた人間より劣ってすらいるのに、皮肉にも生きている時間だけは長くて 「大事なものなんて作らなきゃよかったんだがね」 と、その皮肉を皮肉るぐらいしか出来なかった。 それがどうだ。 ここに流れ着いてからは妖怪、人間共に何も気にもとめず暮らしている。 そんなのが。 それを自分も許していいのか。 そしてまた人の姿を借りる。 それが影患いだからだ。 本当はどこにもないんだろう。 偽って偽って。本当にはなりきれなくて。 それでも。 「こんな妙な気分は本物なんですかねぇ」 あり続けるのだ。
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