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「こんにちはー」
店の軒をくぐる。
「あら、いらっしゃい」
ニコッと笑う女性に驚く。
「えっと…店の主人は??」
「今取り込んでて…御用ですか??」
「いえ、ちょっと寄っただけなんで。」
「そうですか。何かありましたら呼んで下さいね。」
物腰の低そうな女性は先日までは見たことない人間であった。
「あの…君いつからこの店に??」
「先日からです。時々しか店に顔をださないんですが。」
目を細めて微笑する女性。
「そうなんですか、じゃあ今日は当たりですね。僕は君のような綺麗な人に会えるだなんて。」
「まぁ、口がお上手。」
と言った所で、すんっと鼻を掠める微かな香りに違和感を覚えた。
これは知っている香り。それがこの女性からしている。
「どうか…なさいましたか?」
先ほどまでは店の香りと同化して気づかなかったが、やはり異能を使っているのは知ってる者である。店内には生憎自分を含め二人しかいない。そしてその匂いを読み解くと、一つの結論に達するのだ。
「いや……あの、すごく申し上げにくいのですが……モブ夫さん??」
それを聞くと女性はニヤリと口元を歪めた。
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