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偽屋
この土地に流れ着いて早数年。
「今日は何をお探しで??」
店の奥から客の顔を見る。
自分の集めた色々な物から、何かを探す後ろ姿はいつ見ても飽きることはない。
こんな事は今までなかったのだから、多分これでいいのだろう。
妖怪として生まれ、しかし、妖怪よりも人間に近い存在で、ただその事実を受け止め何となく生きてきた自分には勿体無いくらいの報酬なのだから。
それに報おうと思ったのは本当の事で。
「今日もいい天気ですねぇ」
ガラクタにまみれた店に陽の光が、入る。
本当の顔など持たない偽物が、本物を知り売る。
「にせや」
名前は偽でも、その品物は
それを選ぶ時間と気持ちは、
貴方にとって限りなく本物であると。そう、うたって、今日も客の姿を見る。
「ありがとうございましたー。」
あぁ、今日もいい天気ですねぇ。
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