2418人が本棚に入れています
本棚に追加
/1316ページ
「菜々子、これは僕の問題だ。
菜々子に言うべき話しではなかったね。
お金は、僕と親父がどうにかして……」
「待って、真人くん」
私は下を向いていた顔を上げて、真人の顔を見つめた。
「私もどうにかして、お金を作るわ。
私にどれくらいのことができるかわからないけど……」
私はそう言って、真人と知り合う前の自分の味気ない生活を思った。
地味で、変化も刺激もなくて、ただ緩やかに時間が過ぎていくだけの毎日。
そんな私の生活に、明るい笑顔をくれたのは、真人だった。
私はもう、真人がいなかった頃の味気ない生活には戻れない。
私はどんなにつらく、苦しいときも、真人と二人で……。
最初のコメントを投稿しよう!