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でも、真人は見つからなかった。
どうしても、連絡を取ることができなかった。
私は何度も真人に電話をした。
けれども、真人は一度も電話に出てくれなかった。
私は何度も真人にメールを送った。
でも、私が送ったメールにはいつまで経っても返信がなかった。
私は自分が騙されていたことを確信した。
真人を失った私に残されたのは、三百万円を越える返すあてのない借金と真人が私の体に残していった新しい命。
私はいっそのこと、死んでしまおうかと思った。
私は最初から騙すことを前提にして、遊ばれていた女。
真人が私を愛していると思っていたのは、すべて幻にすぎなかった。
私のスマホに、友人からのお金の催促の電話がかかってきた。
私は返すあてもないのに、「一週間後に返すから」と言って、とりあえず、その場を凌いだ。
真人と二人で働いて返そうと思っていた借金。
でも、真人がいなくなった今、その借金の重みは、私の肩にずしりと重くのしかかっていた。
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