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ぷいと顔を背けてすぐそこに止まっている名前も知らないようなデカい車の後部座席に乗り込んで、
黒尽くめの男は助手席に乗って、動き出す。
女が歩き出したそのときにその獣のコートの上をするするとキラキラと滑り落ちる何かを見たんだ。
ぶつかったであろう場所でその光るものを探す。
見つけて差し出そうとする俺の横を、車は通り過ぎていく。
これは……ピアス。
デカい石。
ダイヤモンドか?
イヤイヤ。こんなデカい石を耳たぶにぶら下げるなんて、千切れるぞ。痛くてしょうがない筈だろう……
まあいいか。
落としたのはあっちだし、またどこかで見かけたら返せばいいし、
今は時間がないんだ。
面接の時間。
遅れそうで急いでいたんだ。
ポケットの中にそれを突っ込んで、また走り出す。
ヤバいな。昨夜地図アプリで場所を確認していたのに、なかなか見つからない。
面接を受ける店が。
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