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「そうか。だが、儂は動物の毛皮というのはどうもな…」
「でも、ぜひ一度笹島様にもお召しになって頂ければと思いましたの」
シヅノはそう言うと笹島の膝にそっと手をやり目を細目ながら笑顔で笹島を見つめた。酔った笹島はシヅノのそのしぐさに訝しさを忘れ思わず上機嫌になった。
「お前がそこまで言うなら試しに袖を通して見るかのう」
「ぜひ。きっとお気に召して頂けると思いますわ」
笹島は早速羽織物を手に取り袖を通してみた。その暖かさに笹島は思わず驚いた。
「これはこれは、本当に暖かいのう」
「でしょう。とてもよくお似合いですわ」
「そうか」
「笹島のように立派なお方にお召しになって頂けて毛皮の羽織物の喜んでいますわ」
「ふふっ。シヅノは乗せるのが上手いのう」
「あら、本当のことを言ったまでですわ」
シヅノにそう言われ笹島はますます上機嫌になった。
「だが残念じゃ」
「えっ?」
「これほど暖かい羽織物だが、これから楽しむためにまたすぐ脱がんといかん」
そう言うと笹島はシヅノをいやらしい視線で見つめた。それを察したシヅノは上目使いに笹島を見つめ意地悪な言葉を返す。
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