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「捕り物網にしてはえらく小せえなあ」
その様子を見ていたお駒も口を開く。
「確かに。この大きさだと人を捕らえるのはとても無理だね。せいぜい捕まえることが出来て小動物ぐらいだよ」
年上の従業員もお駒に同調するように相槌を打つ。
「お駒ちゃんの言うとおりだね。この大きさだととても人は捕らえられないね」祖父の形見を持ってきたハチが思わず呟く。
「爺ちゃん、何でこんな物を持ってたんだろう。それもこれを持って出掛ける時は決まって夜だったし…」
「ハチ、じいさんの形見はこの十手と捕り物網だけなのか」
「う~ん、そう言われても…あとはさっき皆に見せたこのお守りと幼い頃の自分におもちゃ替わりによく貸してくれたこの笛くらいなもんで…」
そう言うとハチは自分が幼い頃、よく手にして遊んでいた小さく細長い笛を取り出した。やはりそれも真っ黒な色をしていた。源治はその笛をハチから手渡されじっくり見渡す。
「これは呼び子だな」
「呼び子?」
「ああ、町の警備を任されている者が有事に遭遇した時、仲間に知らせるために使う笛だ」
源治の話を聞いたハチは不思議そうに呼び子を見つめる。
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