第四章 深まる謎

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「あらっ、私は小見さんに言ったんだよ。親分には聞いてないよ」 お駒の言葉を真に受けた源治が思わず突っかかる。 「なっ何だと!!」 その様子をお駒がからかう。 「だって親分とハチさんはこれから夕方の見回りがあるんだろう。小見さんは用事ないだろうしね」 「くっ、お駒…てめえ」 源治の怒った姿を見てお駒が鼻で笑う。 「冗談だよ。一つ作るのも二つ作るのも一緒だからついでに用意するよ」 お駒が冗談交じりに言った「ついで」と言う言葉にまた突っかかる源治。 「ついでだと!!」 「何か? ついででも飯が出て来るんだから有り難いだろう。ねえハチさん」 一日中走り回り腹を空かせていたハチは大喜びだった。 「へい。腹がペコペコなもんで食べさせて貰えるんならなんでもいいです」 「ほらー、親分もハチさんみたいに素直になりなよ」 完全にお駒の意地悪にしてやられた源治は思わず目を大きく見開き奥歯を噛みしめる。だが、源治の腹立たしく思う気持ちとは裏腹に腹の虫は素直に鳴いて空腹を知らせる。あまりの悔しさからせめてもの腹いせにハチの頭を叩いた。 「くそっ」 お駒は意地悪そうに舌を少し出すと年上の従業員と共にお勝手に向かい夕飯の準備に取り掛かった。八つ当たりで頭を叩かれたハチが源治にぼやくと源治はうるせえとぼやき返した。
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