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三つ編みの少女――橘 鈴(たちばな すず)は黒斗と同じ如月高校(きさらぎこうこう)に通う同級生である。
彼女は非常にお世話やきというかお節介な性格で、1年前に黒斗が如月高校に転校してきたばかりの時もやたらと話しかけてきて、黒斗が両親と離れて一人暮らしをしていると知った時から、こうして毎日朝ごはんを作りに来るようになったのだ。
正直、黒斗は彼女をうっとうしく感じる時がある。
だが鈴は根は悪い人間ではなく、こうして世話を焼いているのも純粋な善意からなので無下にも出来ず、仕方なく黒斗は彼女のやりたいようにさせている。
「まあええやない。ご飯は一人で食べるより誰かと食べる方がウマいで! ほら、座って座って」
促されるまま席につくと、テーブルにゴチャゴチャな形になったスクランブルエッグと黒焦げの食パンが置かれた。
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