Episode1 断罪者

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(……誰も居ないし、気のせいか。クソ、ビビっちまったぜ) 人目を気にするあまり、空耳が聞こえたのだろう。 そう考え、少年は踵を返して再び歩き出す。 だが、今度は後方から視線や声ではなく足音がしてきた。 コツ、コツ、コツと徐々に その足音は少年に近付いてくる。 空耳ではない、確かにハッキリと聞こえてくる それに少年の心が再び ざわつく。 (まさか……さっきのジジイが追いかけて来たのか!?) こんな事ならもっと痛めつけておくべきだったと苛立ちつつも、男性を振り切ろうと走り出す。 だが彼を追う足音は一行に遠ざからず、それどころか近づいてきている。 (面倒くせー! こうなったらもう一度ボコボコにしてやらあ!) あんな非力な中年くらい簡単に倒せると思いたち、拳を構えて振り返る少年。 だが彼が見ている方向には誰もおらず、ただ暗闇が広がっているだけだった。 警戒しつつ周囲を見ても、やはり人は居ない。 先程まで聞こえていた足音も聞こえなくなっていた。
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