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まだ太陽も登りきらず、人の姿も少ない早朝。
エプロンを着け、片手に大きな袋を持った年若い主婦がゴミ捨て場に向かって歩いている。
ゴミ捨て場に辿り着いた主婦はカラスが袋を漁っている場面を目撃し、嫌悪感を露に睨みつける。
溜め息を吐きながら近くに落ちていた小石を拾い、投げつけるとカラスはギャアギャアと鳴きながら飛び去って行った。
「全くもう!」
カラスが破った袋から飛び出した生ゴミから強烈な悪臭が立ち込め、空いた片手で鼻を摘まむ。
さっさとゴミを捨てて帰ろうと、ゴミ捨て場に近寄る主婦。
「……!?」
すると、生ゴミの下から赤黒く染まった動物の腕が見えて、驚きのあまり言葉を失う。
───まさか。
胸騒ぎに襲われ、汚れることも いとわずに生ゴミを掻き分けていく。
「っ!!」
露になった動物の姿を見て、尻もちをついた。
「いやあああああああ!! ネネちゃん……ネネちゃんがああぁっ!!」
掻き分けられた生ゴミの下から出てきたのは、2日間行方不明になっていた愛猫(あいびょう)の全身を切り刻まれ、赤く染まっている死骸だった。
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