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けれど、誰かに見られているような得体の知れない不気味な感覚、そして芯まで凍りつきそうな寒さは消えないままだ。
(……気持ち悪い……さっさと帰るか!)
一刻も早く恐怖から逃れたい。
その一心から、少年は駆け足で帰路に つく。
だが、足を進めていた彼の目の前を不意に何かが勢いよく横切り、金属音と共にコンクリートの壁に突き刺さった。
「…………は?」
驚きの余り、それ以上の声が出ない少年。
放心したように口を半開きにしながら立ち尽くす彼の目の前には、銀色が広がっている。
その銀色は不気味に きらめいており、とても大きい。
そして、包丁なんか比べ物にならない鋭い刃が付いていた――
「なっ、なっ、な……!?」
壁に突き刺さっているものが刃物と分かるや否や少年は我に返り、顔から血の気が引いていく。
見たことのない巨大な刃物に戦慄する少年。
そんな彼の首を、突然 横から伸びてきた手が掴んで、壁に身体ごと叩きつけた。
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