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「もう上がりですか?」
「はい!先程、神崎署長に報告書を提出しましたので、今日はこれで」
嬉しさにハキハキ答える俺に、関副署長は綺麗な笑顔を返してくれた。
「それは良かったですね。気を付けて帰宅して下さい」
「はい!」
素直な園児のように元気に返事をした俺に、関副署長は楽しそうに微笑む。
特務捜査課での待遇は冷ややかだけど、ここは落ち着くなぁ。
特務捜査課を捨てて、二人の雑用係に立候補したくなるくらいには、日頃の頑張りが二人によって報われた気がする。
直属の上司がこの人達だったら、どんなに俺の胃壁が守られた事だろう…。
日々、すり減らす神経を思って、ついそんな事を考えてしまう。
駄目だ駄目だ。
それだと優弥と一緒にいられなくなってしまう。
数々のストレスの元凶である人達とも一緒ではあるけれど、優弥との時間は何ものにも変えがたい。
天国と地獄。
そんな文字が、ふっと頭の中に過ぎる。
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