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*相変わらずな僕ら・3*
「相川くん」
「……っ!」
呼ばれて、一瞬、立ち止まるべきか、それとも聞こえなかったフリをして立ち去るかを悩む。
ていうか、存在に気が付かなかった!
危うく叫びそうになった俺は、必死に声を抑えた。
何で、この人、いつも気配が無いんだ⁉︎
いつの間にか俺の背後に来ていた声の主は、俺の心境などお構いなしで、のんびりした口調で話を続けてくる。
「丁度、良かった。実はね、僕のウイルスちゃん達が大変なんだよぉ〜」
いや! 確実に、俺のデート問題の方が大変です!
いま、捕まる訳にはいかないんです!
過去、貴方の、『ウイルスちゃん問題』に、どれだけ大変な目にあった事か!
これ捕まったら、確実にデートが消えて無くなりますよね⁉︎
スタスタと歩き続ける俺の背後を、影のようにベッタリ張り付いて来るのは、科捜研【科学捜査研究所】の小暮耕史研究員だ。
大きな眼鏡に、白衣姿の小暮さんは、エリア第七の有名人の一人で、研究対象に『ちゃん』付けをし、どこまでもこよなく愛を注ぐ、彼の『研究対象への限りない愛』は、ここでは有名な話だ。
そんな小暮さんの、『ウイルスちゃん達』の問題に巻き込まれるなんて、自ら死にに行くようなものだ。
絶対に定時で上がれなくなるじゃないか!
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