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「実は、ぼくのウイルスちゃん記録が入ってるPCに、誰かがハッキングを仕掛けてきたみたいなんだよねぇ」
のんびりした口調の小暮さんの言葉を、歩き続けながら頭の中で反芻する。
ウイルスちゃん記録て。
何ですか、その成長記録日記みたいなノリは。
どんだけLOVEなんですか。
もはや、貴方の子供か何かですか?
LOVE度でいえば、俺の優弥への度数は負けませんけど。
……って。
「ハッキング⁉︎」
思わず立ち止まり、バッチリ小暮さんと目を合わせてしまった。
「そうなんだよ〜。僕とのウイルスちゃん達の甘く切ない日々の記録に、誰かが土足で入ろうとしてきたんだよ。酷いと思わないかい? これは覗き見だよ! 痴漢行為だよ! そう思わないかい⁉︎」
いやいやいや!
そんな事よりも、そのハッキングの目的とか、誰が仕掛けてきたのか、っていう方が重要でしょうよ‼︎
「ハッキング相手は分かったんですか? っていうか、データを全て盗まれたとか?」
「それは大丈夫だよ。何せ、僕とウイルスちゃん達との愛の記録が入ってるんだから、絶対に盗まれないようにしてあるよ」
「そうなんですね。良かった」
大丈夫との小暮さんの言葉を聞いて、安堵の溜め息を洩らす。
「だって、佐治くん仕込みだからね。絶対に大丈夫だよ〜。も〜、心配症だなぁ、相川くんは」
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