No salvation ②

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打算的な願いを込めて、手術を任された私とアンは、ゼロの声帯を温存してやった。 その後のゼロは牙を隠し、声を隠し、私たち同様に、粛々と使用人と研究助手の仕事をこなしていた。 期待に反して何も起こらないまま、徒らに時が過ぎていき、日々は平穏そのもの。 その平穏が、実は残酷な犠牲の上に成り立つ、ただの幻影であると気付いたのは、使用人三人のそれぞれの役割りが、すっかり定着した頃だった。
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