No salvation ②

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秘密を抱えたゼロは、声を出すどころか、呻く事さえままならず、ひたすら責め苦に耐えている。 良かれと思って声を残してやったのは、もしかしたら間違いだったのかもしれない。 声帯さえなければ、相手に伝わらない不明瞭な声で、ありったけの毒を吐けただろうに。 ゼロにはめた枷が、そっくりそのまま重荷となって、自分へのしかかってくるようだ。 ほどなくして、忌まわしき嬌声が頂点を極めた後、じめじめした静寂が訪れた。 あれだけ鳴き騒いでいた鳥たちも、不思議とおとなしくなっている。
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