No salvation ②

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ゼロの男としてのプライドは、無数にひび割れて、今にも砕けそうなほど傷付いているはずだ。 それなのに、 「そんな罪悪感いっぱいの顔すんなよ。 あんたが声を残してくれた事、俺は恨んでなんかいねぇよ」 なんて、ニヤリと笑ってみせる。 心臓をささくれた荒縄で縛られるかのような、細かい痛みと苦しみに苛まれながらも、小さく頷き返してやるのが精一杯。 私はきつく歯を食いしばりながら、本来の目的地へと踵を返した。
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