No salvation ②

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ゼロの心情は同じ男として、察するに余りある。 彼は今、叫び暴れ回りたいほどの憤怒を、不遜な態度で隠しているはずだ。 ひびの入ったプライドを、砕かれまいと。 下手な慰めは、傷に塩を塗るだけ。 そっとしておいてやるのが、一番の慰めとなるだろう。 ハーブが植えられているエリアに入り、目当てのバジルの葉を摘みながら、考える。 自分は何と無力なのだろう、と。
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