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『(つーか、コイツら何者だ……?)』
頭から爪先までほぼ黒の装束に包まれている。そんな奴らなど自分の記憶には無い。何故自分たちを囲っているのか見当もつかなかった。と、考えているうちに黒装束の一人が口を開いている事に気付く。
「……お前、ポケモントレーナーだな?」
「……? そうだけど、どちら様?」
「我々はプラズマ団。愚かなトレーナーからポケモンを解放するための組織」
「は? ポケモンを解放?」
『……あー、なんか聞いた事はあるな。怪しい集団だったと思うが見た事無いぞ、こんな格好の奴らだったか?』
「まぁどうでもいいや。か弱い女の子を大勢で囲むなんて外道よ、制裁してくれるわ」
『厳密に制裁するのはオレだろ……つーかどこにか弱い女の子なんているんだよ』
「後で固結びの刑な」
そんな物騒な事を言う、周りのプラズマ団とかいう奴らよりよっぽど酷い悪人面をした我が主人はオレが待機しているボールを掴み、即座に真上へ放り投げる。囲まれているから図体がでかいオレを出せるのは空中のみだと判断した考えは良い、褒めてやる。
しかし、
「突破するよ! れーちゃん、“たいあたり”!!」
『…………』
これである。仮にも伝説と言われているオレの登場により周りが怯んでいる隙に主人に突っ込む事にしよう。
「おーい、キミのそのでかい体であいつらをぶっ飛ばして差し上げてよー」
『……あのな、この前も言っただろ。“たいあたり”なんて技、オレは覚えてないんだっつーの』
「あれ、そうだっけ……じゃあ“ずつき”? “とっしん”? あ、“すてみタックル”か!」
『威力を上げればいいってもんじゃねぇんだよ!』
「あーもうじゃあれーちゃんの好きな技でいいよ!」
『そのれーちゃんってのもやめろ! オレにはレグルスって名前があるだろ!』
いい加減焦れったくなり、とりあえず軽く息を吸い込み黒装束達の足元に向けて(ちゃんと)覚えている技の一つ“りゅうのはどう”を放つ。手加減したから地面を軽く抉り土埃を上げて目眩ましのついでにその近くにいたヤツを吹っ飛ばす程度になった。まぁ相手らを蹴散らし道を開けるつもりだったからそれくらいで充分だろう。
「よっしナイスれーちゃん! このまま逃げるよ!」
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