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息を切らせながら、俺は碑石に向かって強く祈った。
「頼む!! 俺を……彼女の元に導いてくれ……。俺は彼女を救いたいんだ!!」
愛しているから……
護りたい。
彼女を――
遥かに時を越えた……過去生の――
成就できなかった――護れなかった――彼女を……金禅師を今度こそ護りたいから――
――?
――過去生?
――金禅師?
今のは……何だ?
今、頭によぎった記憶と想いは……いったい?
『……全く。御主は本当に学習しない男だな、斉天大聖』
覚えのない記憶と想いに混乱している俺に被さるように声が聞こえた。
「誰だ!!」
刀に手をかけ、身構える。
『二度はない。あの時、私はそう言ったはずだ。罪を犯したお前たちを許すのは、一度きりだと』
更に声は響き――
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