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碑石が光輝く。
「!?」
驚き、動けずにいる俺に、尚も声は俺に話かける。
『兄妹で交わり、あろうことか桃源の桃を盗んだお前たちを“下界に堕とし転生させる”ことで、罪を許す――そう契約した変わりに、天界の加護を放棄したお前たちに――二度はない』
碑石の光が大きくなり――一人の人物が現れた。
『最も――私もお前たちと同じ穴のムジナではあるがな……』
『私も――全てに絶望して……堕ちた身なのだから――』
光の中で笑う人物――
「……観世音……菩薩」
ああ、そうだ……
俺は……俺たちは……
兄妹で交わり……天界の加護を失った。
加護を失った身では、魑魅魍魎どもと戦うことは不可能で……
それでも聞こえてくる救済を望む声に答えるために……
俺の愛しい妹は……金禅師は……
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