偽展・桃太郎

10/13
前へ
/28ページ
次へ
碑石が光輝く。 「!?」 驚き、動けずにいる俺に、尚も声は俺に話かける。 『兄妹で交わり、あろうことか桃源の桃を盗んだお前たちを“下界に堕とし転生させる”ことで、罪を許す――そう契約した変わりに、天界の加護を放棄したお前たちに――二度はない』 碑石の光が大きくなり――一人の人物が現れた。 『最も――私もお前たちと同じ穴のムジナではあるがな……』 『私も――全てに絶望して……堕ちた身なのだから――』 光の中で笑う人物―― 「……観世音……菩薩」 ああ、そうだ…… 俺は……俺たちは…… 兄妹で交わり……天界の加護を失った。 加護を失った身では、魑魅魍魎どもと戦うことは不可能で…… それでも聞こえてくる救済を望む声に答えるために…… 俺の愛しい妹は……金禅師は……
/28ページ

最初のコメントを投稿しよう!

59人が本棚に入れています
本棚に追加