前世

2/8
前へ
/28ページ
次へ
カツンカツン―― 王宮に響く俺の足音。 玉座に向かい、真っ直ぐと前を見据えて歩く。 玉座に座る――釈迦を睨み付けるように見つめ、俺は跪く。 「命に従いて……斉天大聖。参上つかまつりました!!」 王宮に響き渡る俺の声に釈迦が満足そうに頷く。 「ご苦労様です。悟空……否。今は大聖、斉天大聖と名を改めたのでしたね」 優しげな……けれども有無を言わせない釈迦の言葉を遮るようにして、俺は答えを返す。 「して、釈迦よ。俺の妹……金蝉師はどこに?」 世界を救うために……世界の贄となるために生まれてきた、俺の妹。 その妹を護るために生まれてきた兄の俺―― 「ここに」と釈迦が微笑み――一人の少女が俺の前に立った。
/28ページ

最初のコメントを投稿しよう!

59人が本棚に入れています
本棚に追加