前世

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金蝉師の美しくて白い肌に口づけを落とし――印を残し―― 金蝉師が切なげに喉を鳴らす。 金蝉師の背中がしなる。 そうして俺達は―― 結ばれた――。 それは――禁忌の交わり。 決して結ばれてはならない者たちの――禁忌の交わり。 「悟空兄様……。ああ……!!」 「兄様は止めろ……」 「悟空と」…… そう呼んでくれと言えば―― 「ああ……悟空……」 と、金蝉師は答えた。 互いに貪るようにして求めた後、金蝉師が俺に綺麗な小箱を手渡してきた。 「悟空……。これを……」 「……? これは?」 「釈迦様から預かったものです」 金蝉師が小箱を開ける。 辺りに甘い香りが漂った。
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