59人が本棚に入れています
本棚に追加
これは……この香りは……
桃の香り?
小箱を見てみると、中に小さな薬のようなものが入っていた。
「これは……西王母の庭園から取られた、果実を元に作られたものです」
金蝉師が俺の手にその薬を乗せる。
「釈迦様はおっしゃいました。これを飲めば……不死たる神の力を得ることができると……。私が、もしも私が命を失いそうな時に使え、と」
そうして、金蝉師がふわりと優しく微笑む。
「悟空……。それは貴方が持っていてください」
「何故?」
「私は……貴方を失いたくありません。愛する貴方を……」
「何を言っている……。俺は……否、俺達は大丈夫だ」
何故ならば。
遥か彼方……
天空の神々の加護があるのだから。
最初のコメントを投稿しよう!