前世

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これは……この香りは…… 桃の香り? 小箱を見てみると、中に小さな薬のようなものが入っていた。 「これは……西王母の庭園から取られた、果実を元に作られたものです」 金蝉師が俺の手にその薬を乗せる。 「釈迦様はおっしゃいました。これを飲めば……不死たる神の力を得ることができると……。私が、もしも私が命を失いそうな時に使え、と」 そうして、金蝉師がふわりと優しく微笑む。 「悟空……。それは貴方が持っていてください」 「何故?」 「私は……貴方を失いたくありません。愛する貴方を……」 「何を言っている……。俺は……否、俺達は大丈夫だ」 何故ならば。 遥か彼方…… 天空の神々の加護があるのだから。
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