《13》

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  心の中で、何かが折れた。 同時に、ふらりと体が揺れた。 目の前の佐川に手を伸ばしかけて、寸前のところで壁に方向転換する。 「っ、おい、どうしたんだ?」 「……」 「大丈夫か?」 問い掛ける彼の声は、焦っているようにも聞こえる。そして心配そうだ。 それが、癇に障る。 同情なんていらない。 優しくなんてされたくない。 今更、あなたが何を言ったって、私の飢えは満たされないもの。 きつく目をつぶって、胸の痛みと戦った。 手のひらから壁の冷たさが伝わってきて、私を芯から冷やしていくようだ。 「店に戻ろう、ソファで休めばいい」 そう言いながら、私の肩に触れる佐川。 私はその手を、思いきり振り払った。 もう何も言えない。言わない。 これ以上ここにいたくない。 彼の傍にはもう……いられない。 .
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