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「なあ、マーガレット。改めて見ると、星って綺麗なんだな」
リュが夜空を振り仰いでいると、
「マー、夜は眠い。だから、寝る」
はいはい、ごめんなさい。
しかし、こんなにも美しい、無数の光る点の空が観れるとは。毎日夜は電池の中でグッスリだったもので、気づきもしなかった。
あれのひとつひとつと、今もリュはコンマ数秒という速さでやり取りをしているのかもしれない? まさか。でも、そうだったら、なんて素晴らしいことだろう。
星の数の喜び!
『星が光るのに、理由なんて要らない。』これだ!
太陽のように光ることのできる星の、集まり。それを此処で見られる!
夜の神秘!
「夜の、神秘! 星は光る! 太陽よりも明るく、光る!」
「トブサン、うるさい」
マーガレットは、リュの声に起きてしまったようで、目を擦るとラベの日記をとった。
「ラベ、……。だよね。」
何を話しているんだ?
マーガレットは、こっちを睨みながら口を尖らせて言った。
「勝手なこと、いっちゃ、だめ」
「え?」
「星は、自分で光れる『光源』じゃ、ない。」
な、なんですと?! 焦げんだかなんだかはわからないけど、自分で光れない?
そんな馬鹿な!
「太陽みたいな光源の光が星の表面で乱反射して、ここに届く。だけど、すごく遠いから、光が乱反射してからここに届くまで、何百年もかかる物もある。だからコンマ数秒とか馬鹿な通信も不可能。」
なんでそう、リュの夢を崩したがるかな……。
「馬鹿、早く寝たほうが、いい」
そういって再び毛布に横になるマーガレット。
リュは、空をもう一度見た。
「そうか……」
何百年も前の光が、今まさに此処へ到達したのか。
そう捉えれば、コンマ数秒とかよりもずっと凄い。
ツツバヤも、同じ空を見ているのか?
何百年もの時を辿った光が、ツツバヤに見えていたら。
ツツバヤは、何を思うだろう……。
ツツバヤに、会いたい…………。
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